C言語やC++言語に代替する言語として2010年に登場したオープンソースのプログラミング言語「Rust」。ネイティブコンパイラ言語でもあり、処理速度の速さや安全性などに優れ、大手ベンダーも導入を進めているため注目されている言語の1つです。
大規模システム開発や組み込みシステム開発など幅広く活用されておりフリーランス案件も幅広くあります。
多くある求人案件の中から自身にあった案件を見つけるためにもRustの基礎知識や市場の動向などをキャッチアップすることが重要です。
本記事では、フリーランスエンジニアがRust案件を獲得するために事前に抑えたいRustの基本知識や求人案件の動向などについて紹介していきます。Rustの求人案件に興味がある人はぜひ参考にしてみてください。
そもそもRustとは
Rustとは、Firefoxの開発元であるMozilla社が2006年から開発を始めたオープンソースのプログラミング言語の1つです。
オープンソースのため、だれでも開発に活用可能で高い安全性と高いパフォーマンス性を評価されて現在注目されているプログラミング言語といえます。
Rustの求人案件の種類や市場動向を理解するためには、特徴や基礎知識をしっかりと押さえることが重要です。
こちらでは、Rustの特徴や基礎知識についてみていきましょう。
Rustの特徴
Rustの特徴として、主に以下の3点があげられます。
・安全性が高い
・処理速度が速い
・並行処理可能
それぞれくわしくみていきましょう。
安全性が高い
安全性の高さはRustの基本原則の1つで、独自の言語設計によって高いメモリ安全性が確保されています。C言語やC++を利用する場合に発生するメモリの多重開放や不正アクセスなどのセキュリティリスクが発生しやすいです。
そんなセキュリティリスクに効果的な「所有権」という仕組みをRustを持っており、メモリ管理によって多重開放を防いでくれます。
また、コンパイル時に不正なデータアクセスを防ぐ仕組みが備わっているため、コストを押さえてバグ修正が実行可能です。
処理速度が速い
Rustは処理速度の速さも特徴の1つです。そもそもRustはネイティブコンパイラ言語のため、高速処理ができる仕様で開発されています。
また、所有権によるメモリを効率的に管理できる機能によって、メモリ空間の活用を効率化できるように設計されていることも特徴です。
並行処理可能
Rustは、同時に複数のプログラムを実行する並行処理に対応していることが特徴です。マルチスレッド対応により、複数のタスクを同時に実行できるため、タスク完了までの時間を短縮できる可能性があります。
また並行処理時に懸念されるデータ競合の発生やデッドロックなどのエラーリスクは、Rustの厳密な変数ルールによって未然に防ぐことが可能です。並行処理を安全に実行できることが強みといえるでしょう。
Rustの基礎知識
こちらでは、Rustの基礎知識として、歴史や基本的な文法、コンセプト、主要な開発環境やツールについて解説していきます。
Rustの歴史
Rustは、2006年にWebブラウザの「Firefox」を開発したMozilla社に務めるグレイドン・ホアレ氏が開発を開始して2010年にリリースされたプログラミング言語です。
定期的にバージョンアップを行っており、2024年5月現在の最新バージョンは2023年12月28日にリリースされた「Rust 1.75.0」となります。
機能追加やAPIの追加などが行われており、Rustの効率性や並行処理能力、安全性が高められるバージョンアップがされてきました。
プログラマーが選ぶ愛されるプログラミング言語に7年連続で1位に選ばれており、セキュリティを向上させる手段として重宝されています。
Rustの基本的な文法・コンセプト
Rustの基本的な文法はC言語やC++に似ていることが特徴です。
基本的なコンセプトである所有権システムや借用規則、ライフタイムなどのRust独自の機能により、プログラミング言語がもつ安全性の高さや処理速度の速さを実現してくれます。
所有権システムでは、データを常に特定の変数に所有し所有者がスコープを抜けると同時に変数を解放してくれます。借用規則は、所有権を一時的に借りることを可能にしたうえで複数借用を制限することが可能です。
ライフタイムは、参照有効期間を示すことでコンパイラのメモリ安全性を保持します。
Rustの主要な開発ツール・開発環境
Rust開発案件に携わるうえで押さえておきたい主要な開発環境は以下の通りです。
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主要ツール・環境 |
概要 |
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Visual Studio Build Tools |
Rustを正常に動作させるために必要なC++コンパイラ。 |
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Rustup |
Rustインストーラーおよびバージョン管理ツール（Windowsユーザー向け） |
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Windows Subsystem for Linux |
Windows Subsystem for Linuxのユーザーの場合、ターミナルで以下コードを実行することでインストール。 「curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh」 |
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Cargo |
Rustビルドツールおよびパッケージマネージャー |
フリーランスのRust案件の動向
Rustは、システム開発プログラミング言語としての安全性や処理速度の高さから高い人気を誇ります。
ITエンジニアのコミュニティサイトである「Stack Overflow」の調査によると、Rustは最も使われているプログラミング言語として14番目の人気かつ、開発者に最も愛されているシステム開発言語として2016年から2022年まで7年連続で1位を獲得している言語です。
そのため、Rustのフリーランス案件は年々増加傾向にあります。特にRustの安全性やパフォーマンス性は強く評価されており、大手企業や政府機関のシステムに活用されていることもあり、さまざまなシステム開発案件で活用されています。そのため今後多くのプロジェクトで活用されていく言語となっていくでしょう。
出展：Stack Overflow｜2022 Developer Survey
出展：Stack Overflow｜2023 Developer Survey
フリーランスのRust求人案件の種類
こちらではフリーランスのRust求人案件の種類について実例を交えて解説していきます。
大規模システム開発
Rustを使用した案件として、大規模システム開発案件もあげられます。大規模システム開発では、処理速度や安全性が重視されることが多いです。
そのため、処理速度の速さや安全性の高さ、並行処理ができるなどの特徴をもつRustが開発に活用されています。システムレベルでの処理の実装やシステムにリアルタイム性を求める案件に多く活用されていることが特徴です。
組み込みシステム開発
Rustは、組み込みシステム開発にも適正があり、フリーランス案件が多いです。組み込みシステムとは、テレビや洗濯機などの家電製品からスマートフォンなどの電子製品にシステムを組み込むことをいいます。
Iotデバイスへのシステム組み込みを主となり、Rustの組み込みシステム開発案件では、Rustの並行処理性や処理速度の速さが重視されていることが特徴です。
顧客満足度の高いシステムの条件の1つである通信速度の速さを担保できるため、今後Iotの組み込みシステム案件でのRust需要が高まっていくことでしょう。
ゲーム開発
Rustはゲーム開発に適した言語として注目されています。その理由は、高いパフォーマンスと安全性を提供するためです。Rustの所有権システムと借用規則は、メモリリークや競合状態などのバグを事前に防ぎます。
これにより、大規模なゲームプロジェクトでも安定した品質を維持できます。また、Rustはマルチスレッドプログラミングをサポートしており、現代のゲームエンジンで必要な並行処理を効果的に実装できます。
さらに、Rustのクロスプラットフォーム性も高く、さまざまなデバイスやプラットフォーム上でのゲーム開発に適しています。そのため、将来的にはRustを使用したゲーム開発案件の需要が増加すると予測されます。
フリーランスのRust求人案件の相場、案件例
フリーランスのRust求人案件の相場は、案件内容やエンジニアの経験、専門性、市場状況に応じて変化します。
本サイトで募集しているRust関連案件では、2024年5月現在で1人月あたり75万円が平均相場です。また大手求人サイトでは月単価が100万円を超える案件があることからRustのフリーランス求人案件の相場は他職種と比較しても高単価となります。
より高単価のRust案件を受けるためには、Rustの開発スキルだけでなく他言語やツールのスキルや経験が求められる場合が多いです。Rustスキルだけでも月単価100万円の案件も少なくありませんが、より高い収入を目指す場合は、プラスアルファとなるスキルや経験を身に着けることが重要といえるでしょう。
Rust開発のキャリアパス
Rustエンジニアとして、キャリアパスを積んでいく場合、どのようなキャリアパスがあるか気になる人は少なくないでしょう。キャリアパスを具体的に理解していくことでキャリアアップに必要なスキルや知識、経験を理解することができます。こちらでは、Rustエンジニアのキャリアパスとして考えられる以下の選択肢について解説していきます。
・Rustエキスパート
・TL、PM
・コンサルタント
Rustエキスパート
Rustエキスパートとは、Rust開発に関わる専門知識や経験を持ったRust開発のエキスパート職です。Rustエキスパートになるためには、初級、中級、上級エンジニアとしてさまざまなスキルや経験をすることが重要になります。
初級エンジニアの場合は、Rustの基本的な構文や特徴を理解したうえでシンプルなプログラムを書くことから始めましょう。またRustのコンセプトである、所有権システムや借用規則、ライフタイムなどの考え方や仕組みへの理解が重要です。
中級エンジニアの場合は、実際の案件を通して実践的な開発経験を積むことが有効といえるでしょう。複雑なデータ構造やアルゴリズムの実装やマルチスレッドプログラミングを通した並行処理への理解を深めること、Rustに備わるAPIやライブラリ、ツールを活用した開発などを行い実践的なスキルや経験を得ることが重要です。
上級エンジニアの場合は、Rustに対する深い理解とより高度な実践経験が必要になります。システムパフォーマンスの向上やセキュリティ対策などのスキル、大規模システムの設計と開発の経験を積むことでRsutエキスパートとしてのキャリアアップが期待できるでしょう。
TL、PM
TL（チームリーダー）やPM（プロジェクトマネージャー）もRustエンジニアのキャリアパスの1つです。フリーランスエンジニアの場合でも、案件によってはTLやPMを募集されるケースがめずらしくありません。
チームやプロジェクト全体の進捗を評価、管理するTLやPMになるためにも進捗管理能力やメンバーへのフォローを行うためのコミュニケーション能力が必要です。
管理能力やコミュニケーション能力は、実際に案件を通して身に着けていく必要があります。
コンサルタント
コンサルタントはRustエンジニアのキャリアパスの1つです。コンサルタントは、Rustエンジニアとして得た経験や知識をもとに顧客の業務やプロジェクトに対してアドバイスやソリューションを提供する専門家となります。
Rustエンジニアとしての開発技術や知識だけでなく、顧客からのヒアリングを通して、顧客のニーズを細かく理解し最適なソリューションを届けることが重要です。
Rust開発のトレンドと将来展望
Rustは前述のとおり愛される言語として長年1位を獲得していますが、普及率としてはあまり高くはありませんでした。
ただGoogleやLinux、AWSなどの大手ベンダーがRustの導入を進めていることが判明してから、多くの企業がRustの導入を進めており、Rustエンジニアの需要は高まっています。
特に昨今はDX推進によってさまざまな企業が業務プロセスのシステム化を実施しており、安全性と処理速度に優れたRustを活用するケースが少なくありません。
Rustエンジニア自体の人数も少ないため、これからフリーランスRustエンジニアを目指す場合は案件の選択肢が多いといえるでしょう。
まとめ
Rustは、C言語やC++言語の代替言語としてリリースされたオープンソースのプログラミング言語の1つです。メモリ安全性の高さや処理速度の速さ、並行処理ができる特徴を持ち、大型システムの開発や組み込みシステム開発など幅広い開発案件に活用されています。
また、Rustの活用がGoogleやAWSなどの大手ベンダーが活用を進めていることもあり、今後Rust案件は増えていくことでしょう。
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