この記事では、JavaScriptの概要から歴史、Javaとの違いを解説した上で、HTMLとCSSに対する動的操作、非同期通信の実現など、JavaScriptの幅広さを紹介します。
基本的な書き方に加え、データ可視化、文字列処理、フォーム拡張、データベース管理、アニメーション実装、効率的データ処理、フォント変更といった、活用例も取り上げます。
初学者から上級者まで、JavaScriptを体系的に習得するために是非参考にして下さい。
JavaScriptとは
JavaScriptはWebブラウザで動作するプログラミング言語です。
Webページに動きを付けるために開発されました。
HTMLとCSSを組み合わせることで、インタラクティブでリッチなUXを実現できます。
JavaScriptはクライアントサイドのスクリプト言語として機能します。
これにより、サーバーに負荷をかけずにWebブラウザ上で処理を行えるようになりました。
それだけでなく、動的なコンテンツ生成やマルチメディア制御、アニメーションの実装などもできます。
また、Node.jsの登場により、サーバーサイドでもJavaScriptを利用できるようになりました。
APIの構築やデータベース操作、ファイル処理など、幅広い用途に使えます。
JavaScriptは比較的簡単に習得できる言語ですが、その適用範囲は広く、幅広い分野で活用できます。
初心者から上級者まで、どのレベルのユーザーにも役立つ言語なのです。
JavaScriptの歴史
JavaScriptは、1995年にネットスケープ社のブレンダン・アイクによって開発されました。
開発当初は「Mocha」という名前でしたが、当時人気だったJava言語との関連性を強調するために「JavaScript」と改名されました。
JavaScriptの誕生は、静的なHTMLページに動的な要素を加えたいというニーズから生まれました。
当初はブラウザ上で簡単なアニメーションやインタラクティブな要素を追加する程度でしたが、その後、ウェブアプリケーションの開発に欠かせない言語へと成長を遂げました。
JavaScriptの進化は目覚ましく、2009年にはGoogleが開発したV8エンジンが登場しました。
V8エンジンはJavaScriptの実行速度を大幅に向上させ、サーバーサイドの開発やモバイルアプリ開発にも利用されるようになりました。
現在では、JavaScriptはWeb開発において最も重要な言語の一つとして、幅広く利用されています。
JavaとJavaScriptの違い
JavaとJavaScriptは名前が似ていますが、全く別のプログラミング言語です。
Javaはオブジェクト指向の言語で、主にWebアプリケーションやモバイルアプリの開発に使われています。
一方、JavaScriptはスクリプト言語で、Webブラウザ上で動作します。
また、Javaはコンパイル言語なのに対し、JavaScriptはインタープリター言語です。
つまり、JavaScriptはコンパイル不要で直接ブラウザで実行できます。
名前が似ていますが、発祥の経緯や目的、動作環境が全く異なる言語なので、間違えないようにしましょう。
JavaScriptでできること
JavaScriptは、HTMLとCSSと組み合わせることで、Webページにダイナミックな動きを与えることができます。
ここでは「Webサイトに動きをつける」と「非同期通信にて処理ができる」の2つについて詳しく解説します。
その他にも、ゲームの作成、プラグインの構築、デスクトップアプリの作成(Electron)など、JavaScriptは幅広い用途に使えます。
Webアプリ開発の現場では欠かせないスキルとなっています。
HTMLとCSSに指示出しをして、Webサイトに動きをつける
JavaScriptは、ウェブページ上の要素を動的に操作することができます。ドキュメントオブジェクトモデル(DOM)にアクセスし、要素の追加・変更・削除などが行えるのです。
例えば、ボタンをクリックすると、新しい要素が画面に表示されるよう設定できます。また、スクロール位置に合わせて要素の位置を変えたり、フェードイン/フェードアウトのアニメーションを実装したりすることも可能です。
CSSに対しても、クラスの追加・削除によってスタイルを動的に変えられます。カラーやフォントサイズ、レイアウトなどをリアルタイムに変更できるので、ユーザーの操作に合わせて柔軟にUIを変化させることができるのです。
このように、動的なコンテンツ表示やUIの実装をすることができます。
非同期通信にて処理ができる
JavaScriptでは、非同期通信によってサーバーとデータのやり取りが可能です。代表的なのが、AJAXと呼ばれる技術です。
従来のWebアプリケーションでは、サーバーから新しいデータを取得する際、ページ全体を再読み込みする必要がありました。しかし、AJAXを使えば、ページを再読み込みせずに部分的にデータを取得することができます。例えば、Webメールの新着チェックやリアルタイムの検索サジェストなどはAJAXの活用例です。
最近では、Fetch APIやAxiosなどの新しい非同期通信の方法も登場し、より簡単に実装できるようになりました。
サーバーサイドとの連携は、現代Webアプリ開発において欠かせない要素で、それを非同期通信により実現できます。
JavaScriptの基本的な書き方
JavaScriptのコードは、HTMLファイル内の<script>タグ内に記述するか、.jsファイルに書いて読み込みさせます。
JavaScriptのコードは上から順に解釈されていくので、記述の順序に気をつける必要があります。
JavaScriptは「構文」「キーワード」「変数・値の定義」「演算子」「制御構文(条件分岐・ループ)」「配列」「オブジェクト」「関数」などから構成されています。
例えば、以下のように記述すれば、ブラウザ上にアラートが表示されます。
alert('Hello, World!'); |
関数の定義や変数へのデータ格納なども行えます。他にも色々な実装ができるので、確認していきましょう。
地図やチャートを活用したデータを可視化
JavaScriptを使えば、Webページ上でインタラクティブな地図やチャートを表示できます。
例えば、GoogleマップAPIやLeaflet.jsなどを活用すれば、地図上にマーカーやルート線を描画できます。物件検索サイトなどで活用されています。
また、Chart.jsやD3.jsなどのライブラリを使えば、棒グラフやパイチャート、折れ線グラフなどを簡単に作成できます。さらにアニメーションなど、動きをつけることもできます。
数式・文字列などの処理
JavaScriptには数式や文字列を処理するための様々な機能が用意されています。数値計算だけでなく、文字操作にも活用できます。
例えば、以下のように記述すれば足し算ができます。
let sum = 3 + 5; // sum = 8 |
文字列の連結も簡単です。
let message = "Hello, " + "World!"; // message = "Hello, World!" |
文字列の切り出しや置換、数値の四捨五入や絶対値の計算など、プログラミングではこうした基本的な処理を頻繁に行います。
フォーム機能の拡張
フォーム機能はデータ入力に欠かせない要素ですが、JavaScriptを使えば簡潔に実装することができます。
例えば、入力値のチェックやエラー表示を実装できます。
また、フォームの入力値に基づいて動的に表示内容を変更したり、フィールドの表示/非表示を切り替えたりすることもできます。さらに、ファイルのアップロード機能の拡張や、位置情報の取得と自動入力といった高度な処理も可能になります。
データベース管理
JavaScriptを使えば、Webブラウザ上からデータベースを操作することができます。代表的なのがブラウザに標準搭載されているIndexedDBです。IndexedDB構造化されたデータをブラウザ上に保存できます。
さらに、Node.jsを使えば、サーバーサイドからMongoDBやMySQLなどのデータベースにアクセスすることもできます。JavaScriptでバックエンドを構築するケースでは、良く使われます。
アニメーションの実装
JavaScriptを使えば、Webページ上で動きのあるアニメーションを実装できます。UI上のコンポーネントの滑らかな移動やフェードイン・アウト、拡大・縮小といった視覚効果を加えられるのです。
また、CSSと連携して使うこともできます。JavaScriptで動きの開始・終了のタイミングを制御し、CSS要素を適用すれば、スムーズなアニメーションが実現できます。アニメーションを実装すると、ユーザーの興味や関心を引き付けやすくなります。
効率的なデータ処理
JavaScriptには、配列やオブジェクトなどのデータ構造を扱うための豊富な機能が揃っています。例えば配列の操作では、`map()`や`filter()`、`reduce()`などの関数があります。これらを組み合わせることで、繰り返し処理をシンプルに記述できます。
const numbers = [1, 2, 3, 4, 5]; |
オブジェクトの操作にも`Object.keys()`、`Object.values()`などの組み込みメソッドがあり、プロパティの列挙や値の抽出が簡単にできます。
冗長なコードを避け、シンプルに実装できるのが特徴です。
フォント変更
JavaScriptを使えば、Webページ上のテキストのフォントを動的に変更できます。HTMLやCSSだけでは実装が難しい高度な制御が可能になるのです。
具体的には、`document.getElementsByTagName()` などでフォントを変更したい要素を取得します。その上で、`style`プロパティを操作してフォントファミリー、サイズ、スタイル、ウェイトなどを指定します。
const headings = document.getElementsByTagName('h1'); |
DOMの操作が容易という、JavaScriptの強みであると言えます。
JavaScriptの学習方法
JavaScriptを学ぶ際は、公式ドキュメンテーションが参考になります。
ウェブ標準であるECMAScriptの仕様書や、Mozilla Developer Network(MDN)のようなリソースに詳しく記載があります。
文法の習得では、基礎から順を追って学ぶのがおすすめです。
構文や変数宣言、データ型、制御構文、関数定義などの基本を押さえてから、オブジェクト指向やDOM操作、イベントハンドリングなどの実践的なトピックを学びましょう。
他にも、オンラインの学習サイトは無料で質の高い学習コンテンツを提供しているので活用するといいでしょう。JavaScript.infoやUdemyなどがおすすめです。
学んだことは実際にコーディングして、実践していきましょう。
まとめ
この記事では、JavaScriptという言語について幅広く解説しました。
JavaScriptの概要と歴史、Javaとの違いを説明しました。
続いてJavaScriptの活用範囲として、Webサイトへの動的機能付与や非同期通信の処理能力を紹介し、基本的な書き方に加え、データ可視化、文字列処理、フォーム機能拡張、データベース管理、アニメーション実装、効率的データ処理、フォント変更など、JavaScriptの多様な適用例を挙げています。
ぜひJavaScriptの学習に取り組んでみてくださいね。