この記事ではフリーランスのFlutterエンジニアとして活躍を目指す人のために、需要動向や将来展望、キャリアパスなどの実践的な情報を解説します。また、Flutterの基礎知識から具体的な案件の種類、スキルレベル別の役割も紹介します。さらにWebやAR/VRなど新領域との親和性や、マルチプラットフォーム需要の高まりに伴うFlutterの成長可能性についても考察します。これからFlutterのキャリアを志すエンジニアの方は是非参考にして下さい。
Flutterの特徴と人気の理由
Flutterは、Googleが開発したオープンソースのフレームワークです。一つのコードベースから、iOS/Android/Webなど複数のプラットフォームに対応した高パフォーマンスなネイティブアプリを開発することが可能です。
Flutterのレンダリングエンジンはネイティブアプリの見た目に近いUIを提供しており、ネイティブアプリに近いスムーズなアニメーションやスクロール体験を実現します。また、Dart言語による宣言的UIコードにより、再利用可能なWidgetの組み立てによる直感的な開発ができます。Flutterには豊富なWidgetカタログが用意されているほか、カスタムWidgetの作成も容易です。このように、Widgetを活用した開発が中心になるのが特徴です。
Flutterが人気の理由として、クロスプラットフォーム開発が挙げられます。
スマートフォンの普及に伴い、モバイルアプリの需要は高まっています。一方で、iOS/Androidの両方に対応するため、ネイティブ開発では二重の開発工数が必要です。その課題を解決するクロスプラットフォーム開発フレームワークとして、FlutterやReact Nativeが注目されています。特にFlutterは、Googleが開発したフレームワークとして注目され、採用されるプロジェクトが増えています。
さらに、Flutter 2.0ではWeb対応が始まり、WebアプリケーションにもFlutterの活用が広がりつつあります。今後、単一のFlutterコードベースで、モバイルアプリとWebアプリを効率的に開発できるというメリットから、Flutterへの需要は一層高まると予想されています。
Flutterエンジニアは、今後ますます貴重な存在となることでしょう。
Flutterの基礎知識
Flutterを活用したアプリ開発をよりよく知るために、基礎知識や歴史を紹介します。Flutterの主要なバージョンの歴史や、基本的な文法、開発ツールについて見ていきましょう。
Flutterの主要バージョンの変遷
FlutterはGoogle主導によるオープンソースのモバイルアプリ開発フレームワークとして、2018年12月にFlutter 1.0がリリースされました。Flutter 1.0では、iOSおよびAndroidのモバイルアプリ開発をメインターゲットとして、Dart 2.0による、Googleのマテリアルデザインに準拠したWidgetカタログなどの基盤が整備されました。
そして、2021年3月のFlutter 2.0リリースでは、Webサポートが実装されるなど、マルチプラットフォーム対応への布石が打たれました。
2022年5月にリリースされた最新のFlutter 3.0では、マテリアルデザイン3がサポートされるなど、UIの高度化が進みつつあります。今後も継続的な改善とリリースが見込まれています。
Widgetベースのアプリ開発とDart言語
Flutterのアプリ開発は、Widgetと呼ばれる構造化UIコンポーネントを組み合わせていく宣言的UIスタイルで行われます。Widgetには視覚的な要素だけでなく、構造的な役割を持つ非視覚Widgetも存在します。またWidgetでは、状態管理や非同期処理、パッケージ管理などDartの高度な機能も活用できます。
Widgetのコーディングには、Googleが開発したDart言語が用いられます。Dart言語はJava/C#/JavaScriptなどのプログラマにとっては親しみやすい文法です。
Flutter開発にオススメのIDE
Flutter開発を効率的に行うためには、適切なIDEの選択が重要です。推奨されているIDEはAndroid StudioとVisual Studio Codeです。
Android StudioはJetBrains製のIDEで、AndroidアプリケーションやFlutterプロジェクトの開発に最適化されています。もう一方のVisual Studio Codeは軽量でカスタマイズ性に優れています。Flutterの拡張機能を追加することで、快適な開発環境が構築できます。シンプルでモダンなUIで、コーディングに集中しやすいのが特徴です。IDEは実際に触ってみて、使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
フリーランスのFlutter求人案件の種類
Flutterはモバイルアプリ開発が中心ですが、直近ではWebやデスクトップアプリの分野にも進出しています。フリーランスのFlutterエンジニアに求められる案件は、多岐に渡っています。どのような案件があるのか見ていきましょう。
モバイルアプリ開発案件
最も一般的な案件はモバイルアプリ開発です。FlutterはiOS/Androidのクロスプラットフォーム開発に適しているため、ネイティブ開発よりも効率的に開発ができます。1つのコードベースで2つのプラットフォームに対応できるため、開発コストを大幅に削減できる可能性がFlutter採用の理由となっています。
モバイルアプリの開発案件は多岐に渡ります。金融やECサービス、メディア、ゲーム、エンタープライズ系など、業界を問わず需要が見込めます。Flutterを活用したモバイルアプリ開発の求人傾向は、今後様々な業界で増加すると思われます。
Webアプリ開発案件
Flutter 2.0から本格的にWebブラウザ向けのアプリ開発がサポートされたことで、WebアプリケーションへのFlutterの活用が増えつつあります。PWAやSPAなどのWebアプリ開発案件が見受けられます。
FlutterによるWebアプリ開発の大きな利点は、ネイティブとWebの両方のUIを1つのコードベースで構築できる点にあります。既にiOS/Androidアプリでコードベースを持っている場合、そのコードの一部を流用してWebアプリを作る案件が見られます。
ゲームやデスクトップアプリ開発案件
Flutter 2.0以降では、ゲームアプリやデスクトップアプリの案件も増加しています。ゲームエンジンとしての活用が期待されており、美麗なグラフィックスやリッチな視覚効果を備えた3Dゲームなどを作ることができます。
またデスクトップアプリでは、Windows/macOS/Linuxなどの複数のOSに対応したアプリの開発など、Flutter案件の幅は広がっています。
フリーランスのFlutter求人案件の相場、案件例
それでは実際に、フリーランス向けのFlutter開発の案件の相場や案件例を見ていきましょう。ここではテックヒーローに掲載されている案件をいくつかご紹介します。
動画配信サービススマホアプリ開発の案件
配信事業者向けに、動画配信を行えるアプリの開発を行う案件になります。スムーズな動画配信体験を実現するために、Flutterの豊富なWidgetを活かしたスマホアプリの開発を行う案件になります。単価も最大月70万円の案件となっており、Flutter案件の中では高単価の分類に入ります。
エネルギー企業様システムのスクラム開発の案件
続いて紹介するのはエネルギー企業様システムの案件です。主な業務内容としては、Flutterを活用した機能開発となっています。FlutterのWidgetはシンプルで分かりやすいものが多いことから、BtoCサービス利用者向けのアプリでも採用されています。こちらの単価は最大月60万ですが、フルリモートで受けれるのが魅力です。
Flutter開発のキャリアパス
フリーランスのFlutterエンジニアとして活躍するためには、経験を積みながらスキルを磨き、キャリアを着実に積み上げていく必要があります。Flutter開発のキャリアパスを3段階に分けて解説します。
Flutter初級の開発者に求められる役割とスキル
Flutter開発の初級者段階では、まずはFlutterの基礎的な知識と技術の習得が求められます。Dartプログラミング言語の文法や構文、WidgetベースのUIデザイン、ステートマネジメントなどの基本概念を確実に理解する必要があります。Flutterの学習方法としては、公式サイトがとても参考になります。この段階ではこれまでの開発者経験を活かしつつ、Flutterの開発手法に慣れることが重要になります。
中級Flutter開発者に求められる経験と応用力
一定の実務経験を積んだ中級者段階では、より高度な技術とアーキテクチャの知識が不可欠となります。BlocパターンやProvider、Riverpodなどの状態管理アプローチ、RESTful APIの活用、パッケージ管理の理解が求められます。
また、パフォーマンスチューニング、テスト自動化、継続的インテグレーションなどの実践的なスキルも身につける必要があります。中級者はプロジェクトの主要な役割を担い、アーキテクチャ設計や品質管理、業務の見積もりなどの責任を負うことが期待されます。
上級Flutter開発者が求められるリーダーシップ
長年の経験とスキルの蓄積を経て、上級開発者になると、マルチプラットフォーム最適化、パフォーマンスプロファイリング、アーキテクチャ設計の専門知識が必要不可欠です。さらに、テックリードとしてFlutterの開発スキルだけでなく、問題解決力やコミュニケーション力を活かしたリーダーシップなどが求められます。
Flutter開発のトレンドと将来展望
Flutterは今後さらなる発展が期待されているクロスプラットフォーム開発技術です。その背景には、マルチデバイス対応へのニーズの高まりや、新しい領域での活用可能性などが挙げられます。
マルチプラットフォーム需要の高まり
Flutter 2.0でWebとデスクトップアプリの開発がサポートされたことで、モバイルアプリ以外の領域での需要が高まっています。1つのコードベースでWebサイト、モバイルアプリ、デスクトップアプリを開発できるFlutterの特徴はさらに注目されるでしょう。こうしたマルチプラットフォームでの展開を目指すサービスにおいては、ますますFlutterを採用する事例の増加が見込まれます。
AR/VR/IoTなど新領域との親和性
Flutterは、単にモバイル/Web/デスクトップだけでなく、AR/VR、IoTなど、新しい領域とも相性が良いと考えられています。
FlutterのGPUアクセラレーション機能は、ARやVRのリアルタイムレンダリング処理に適しており、これらの分野での活用が期待されています。また、FlutterのIoTデバイス対応により、スマートホームやウェアラブル機器などの開発にも活用できる可能性があります。
Flutterの成長可能性とキャリア展望
Flutterはクロスプラットフォーム開発に適したテクノロジーとして、今後さらなる成長が見込まれています。GoogleがFlutterの技術的ロードマップを示し続けており、新機能の継続的な追加が予想されます。また、FlutterのOSSコミュニティも活発に活動しており、さまざまなツールやリソースが生み出されています。
Flutter開発者のスキルとしては、今後実装されるFlutterの新機能をキャッチアップしつつ、開発経験を積んで様々な案件をこなせる対応力を身に付けていくのが、今後のキャリアとしては重要となってきます。
まとめ
この記事では、フリーランスのFlutterエンジニアに関する実践的な情報を紹介しました。モバイルアプリ開発に留まらず、Webやデスクトップアプリなど、マルチプラットフォーム対応力の高さがFlutterの強みで、今後もその強みを生かした案件が増加するでしょう。フリーランスエンジニアには大きな可能性が広がっている領域ですので、ぜひFlutterにチャレンジしてみてはいかがでしょうか？
